大分県立芸術文化短期大学 平成30年度講義概要
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授業科目 担当教員名 開講時期 必修・選択 単位 授業形態 学科・学年
邦楽演習(能楽) 谷村 育子
前期集中
選択 1 演習 音楽科1年
■ 授業の目的・到達目標

 能は世界遺産第1に選ばれ最古の音楽演劇(オペラ)である。700年息づいた日本の誇る音階・リズム・発声・楽器・能面・装束は世界に類がない。人前に表現の第1は人間性・行儀、規律の強い精神を養い、武士道に通ずる阿吽の息・気合の重厚さ・表現の源である。今の時代に欠けている、練磨精神を能の世界で感じて欲しい。舞台とは真剣勝負の世界は世界共通である。
 世界評価されている世阿呼の芸術論「花伝書」を図面でわかり易く説明、芸の身につけ方、魅力の花とは、習得・錬磨、とぎすました精神力の養成。100遍稽古の基本、その先に見えて来る自身の感性→自身→伸ばす→スケール大となる。これが到達である。追い求め未知の面白さが身につく。課題曲を間違いなく演奏するに満足するな→その1歩先かつ自身の感性を磨く芸力なのだ、頑張れ!

■ 各回の授業内容

第1講 「学んでみよう能・狂言・囃子」の学習本の説明。第1講より「羽衣」の譜面(卒業生の作品)を渡し毎回30分謡う。3分間のフレーズである。
第2講 「能面」25面持参、日本史の全てのヒーローの面、神・武士・女面・妖怪の発声・演技・風体のあり方を学ぶ。
第3講 「楽器」笛・小鼓・大鼓・太鼓の組立、音の立て方、カケ声、ビデオで学習。セリフの表現の仕方。
第4講 神・男(軍記物)女(妖精・源氏物語の女)狂(母子。恋愛の狂せ)鬼(妖怪)のビデオ鑑賞
第5講 毎回30分間「羽衣」の謡を必ず謡い、卒業生の譜面を自分なりに訂正。楽譜を作る。7・5調の歌詞を八拍(エイトビート)のリズムにハメ込む。
第6講 能楽の囃子と詩歌の間の取り方、大ノリ、平ノリ、間囃子の根本を知る。陰陽の間。
第7講 新作能「博多山笠」九州室内楽のオーケストラと能のコラボをシンフォニーホールで行われた、そのビデオを見る。
第8講 「花伝書」をわかり易く説明、人生論としての大切さを知る。習得の心得。
第9講 「羽衣」の囃子入り録音で表装をつけ実際に舞って見せる
第10講 能の代表的作品「道成寺」「石橋」「安宅」をビデオ鑑賞。オペラとの比較。
第11講 能のワビ・サビ、枯れたる花(老女物)の魅力について
第12講 「大分の新作能・若木の桜」大中生(上野ヶ丘高校生)日出女子高生・ムッチャン・保戸島の子供地蔵・宇佐特攻隊を鑑賞。戦中の大分を知る。
第13講 古代ギリシャ悲劇と能のコラボ「ネキア」は古代ギリシャ石舞台で行われ15000人の絶賛舞台をビデオ鑑賞。大分でもなされた。
第14講 講座の興味深い所をまとめ「羽衣」の一節を3分間1人ずつ謡う(譜面の完成を確かめる)
第15講 テスト「羽衣」1人3分謡う。自作の譜面を見て謡い、提出してもらう。

■ 準備学習等

「羽衣」の3分間を1人で謡えるように毎日自習。

■ 成績評価の方法・基準

まず大きな声で明確に謡う。音程より表現する姿勢が大切。音大生なのに声が小さい人がいる。

■ 教科書

「学んでみよう能・狂言」能楽協会、「能楽の囃子」ビデオ

■ 参考図書

■ 履修の条件・注意事項

芸術は洋楽・邦楽を問わず到達の目標は1つである。(洋楽・邦楽・演劇・美術・舞台劇全て)体や耳をアンテナにしてピリピリ感じ取る貪欲さが欲しい。活々と熱心に聞く生徒さんが居るが、邦楽は関係ない世界だと堂々と寝ている生徒もいる。29年度生は2・3人の生徒が居ましたが、全体的に反応のある優秀な生徒さんでした。私も東京芸大で能楽専攻・大学院まで学びましたが、ピアノ、ソルフェージュ、オーケストレーションのテストは苦しい思い出が有り同情します。

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